2016年11月から愛知・岐阜の店長・人事担当者のためのお役立ちサイト「ヒトクル」に「広報とブランディング」をテーマに連載したコラムを、許可を得て転載します。採用で悩んでる方のご参考になれば幸いです。今思えば、コラムではなくエッセイですね。

     

    初めまして

    中小企業のための社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口です。皆さん初めまして。
    私は新聞社、出版社という、いわゆるマスコミという業界に長くいました。そこでは、様々な仕事を経験することができて大変幸運だったと思っています。

    その間で、最も大きな学びは「世の中は自分の知らないことだらけ」だということでした。裏事情とかではなく、こんなところにこんなものが、こんな人が、こんな会社やお店が、と毎日新鮮な発見がありました。「これは伝えなきゃ」「誰に教えたら喜んでもらえるだろう」「お役に立てて嬉しい」と街やネットを走り回っているうちに、気がついたら30年が過ぎていました。

    会社勤めのうちから、毎日のように様々なビジネスのご相談を伺ったり、考えたり、お答えしていたのですが、今にして思えば、自分も気づかない間にコンサルティングのトレーニングを積んでいたようなものです(もちろんこそこそアルバイトをしていたわけではありません)。

    人のお話を聞くのは楽しく、お悩みごとに対して感謝されるような提案ができたときは、難しい案件ほどパズルが解けたような快感です。

    そんな私が、30年の間見てきた企業の中で、規模や社員数に関わらず、自社の確固たる「ブランド」を持っている企業については、順調に採用活動をしていたように思います。従業員数が10~30名規模の中小企業の場合、その「ブランド」の起点になるのは、えてして経営者自身であったりします。

    今回は、私が過去に出会った、その会社の確固たる「ブランド」になっていた2人のリーダー(経営者)をご紹介します。

     

    カッコイイとは、こういうことさ

    「カッコイイとは、こういうことさ」というのは糸井重里さんのある映画のPRコピーですが、映画や小説以上にカッコイイ大人が実社会にはたくさんいます。
    A社は小さな製造業です。大手メーカーの製品の中に使われる部品を作っています。ある日、A社に大手メーカーの役員が訪ねてきます。

    用件はそのメーカーの業績悪化に伴う製品価格の値下げ交渉でした。A社は値下げに応じないことで有名です。大手メーカーの役員ですから何人か社員を引き連れて来られたそうです。A社の社長は、値下げの話を一蹴します。

    「あなたの会社は赤字だと言うが、わざわざこんな田舎まで大勢で交渉に来るくらいなら、赤字企業の経営者の報酬をカットしたらどうかね」と言って追い返したそうです。

    また、別の大手メーカーの調達担当者が高飛車な態度で値下げを要求してきたときにも「他社でやってもらってください」と。

    「そんなこと言ってると痛い目に遭うぞ」と捨て台詞を残して立ち去った彼から、一週間後に再び見積り依頼があります。

    「社長どうします?」と尋ねる社員に「一週間の間に、あちこち当たって、やっと他社では作れないってことがわかったんだろう。だったら前回の見積に1割加算しておけ」と指示をしたそうです。

     

    コピーされたら、できないものを作ればいい

    A社は従業員30人くらいですが、B社は従業員10人というさらに小さな会社で、業界の常識をくつがえす超精密な樹脂パーツを製品化しました。最先端の工業技術を投入し、自社のノウハウを加えた自信作です。

    他社にはマネができないし、マニアックな商品で、そもそも市場が小さいので、参入する気にもならないだろうと考えていました。ところが、コピーされてしまったのです。海外のメーカーが製品の型を取って複製したようです。

    「あまりにも小さな部品なので型を取るのは不可能だと思っていました。やるな◯国、という感じです」と担当者は言いながらも顔は笑っています。

    B社の社長は「コピーされた?あ、そう、じゃあ作れないもの作るか」と、実際に「これならどうだ」という複製不可能なほど精密な加工を施した、さらに小さなパーツを製品化したのでした。

     

    リーダーに魅力があれば人は集まる

    集団のリーダーには、人としての魅力が必須です。頑張ったら頑張っただけ仕事を増やせるような時代ではなくなってしまったために、多くの従業員は「達成欲求」よりも「承認欲求」が高くなっているような気がします。

    だとすると、どれだけ業績を上げられる力があるかよりも、どれだけ自分の力を引き出してくれる力があるかがリーダーに求められます。
    A社の経営者は「経営者の仕事は、社員一人ひとりが最大限の力を発揮できる環境をつくることだ」とおっしゃっていました。

    こんな会社なら人に困ることはありません。人が辞めても、誰かが連れてきます。親子二代の方もいます。出産を機にリタイアする女性にも「しっかり子育てをして、また帰ってくるんだぞ」と声をかけますし、実際に「ここで働きたい」と復職している人もいるそうです。

    B社には全国から就職希望者がやってきます。ほとんどの方が「即戦力として使えるレベルにない」という理由でお断りしているそうです。

     

    ブランドを確立すれば採用活動は不要になる

    この2社の経営者も従業員も、自社の存在意義、製品に絶対的な自信と誇りを持っています。「ブランド」が確立されていると言えるでしょう。

    それを「採用」という面から見れば、A社の場合は、人が必要になれば、中途であれ新卒であれ、従業員が探してきてくれます。待遇面で大手企業にかなわなくても、仕事のやりがいであったり、職場の雰囲気の良さであったり、従業員が自信をもって友達を誘えるような会社であればいいのです。

    B社の場合は製品に想いが全て凝縮されています。世界の誰もマネできない商品を職人技で作っています。素人が見てもすごい仕事をしていることが伝わってきます。こんな仕事をしたいと、全国から応募者がやってきます。

    この2社のように宣伝が不要になるほどの、こだわりのモノづくりができる企業ばかりではないでしょう。
    でも「カッコイイ=魅力的」な経営者の下には人が集まります。あなたもカッコイイ社長になって下さい。カッコイイ社長ご自身によるブランディングとアピールをしてみませんか?(2016.11.29)

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